Adobe illustratorのトリムマーク(トンボ)が2種類あるんですが、どっちを使うのが正解か知っていますか。
オブジェクトからの「トリムマークを作成」と効果からの「トリムマーク」、どっちも見た目は同じなんですが、実際に印刷するときにどっちが正しいのか知っておいた方がいいでしょう。
しかもなぜ2種類あるのかも知りたくないですか。
そしてなぜトリムマークのことをトンボとも呼ぶのか、Adobeのillustratorは昔からあるソフトなので、いろいろが謎な部分が多いソフトでもあります。
今回は「トリムマーク」に関して解説していきたいと思います。
トリムマークとトンボの違い
まずはトリムマークとトンボの違いなんですが、結論から言うと一緒です。
デザインはもともと版下という厚い紙の上にトリムマーク(トンボ)を書いて、そこに手書きでレイアウトしていました。
そのレイアウトを元に写真やグラデーションを支持してデザインしてたんですが、そのトリムマークの形が昆虫のトンボに似ていたため、トンボと呼ばれるようになりました。
トリムマークと呼ばれるようになったのAdobeからillustratorが発売されたアメリカがトリムマークと呼んでいたからです。
ちなみにアメリカのトリムマークは1本線です。
初期のAdobe illustratorでは今のファインダーにある効果のトリムマークが「トンボ」という表記になっていましたが、今はトリムマークに変わっています。
トンボと言う表記ははillustratorの環境設定で「日本式トンボ」でしか見られなくなってしまいました。
トリムマークの部分的名称
トンボの部分的な名称は下記の図の通りです。
外(そと)トンボ
昔はソトトンとも呼ばれていて、3mmの塗り足しを表記する線です。
版下でデザインしていた頃は2mmトンボも多く使用されていました。
塗り足しが分かる線だけなので、アメリカでは1本線でもいいと判断したかもしれませんが、ここに日本的な優しを感じますね。
内(うち)トンボ
紙を切る目安になる線で、昔はウチトンとも呼ばれていました。
実際にトリムマークを付けていく中で、注意しないといけない事がありますが、それはこの記事の下の方にある「トリムマークを作るときの注意点」で説明したいと思います。
センタートンボ
センタートンボは印刷後に紙を切る際に平行に切るための目安になる線です。
この線が無いと平行に切る事が出来ず紙面の文字や大事な部分を切り落としてしまいます。
折りトンボ
名前の通りで紙を折る目安になるトンボです。
折りトンボは自動で作ることができないので、デザイナーが自分で付ける必要があります。
自動で付けられないのでサイズを間違えてしまう事があります。
トリムマーク(トンボ)はデザインする前の大事な工程で、ここで間違えてしまうと印刷前にレイアウト変更する事になりかねません。
塗り足しが無いとどうなるの?
さてこのトリムマーク(トンボ)がないとどうなるのか。
切る目安がないから当然下記の図のようになってしまいます。
図は少し大げさにしていますが、白い部分が見えていると言う事は左側は大事な文字や図が切れてしまっている可能性が高いです。
この白い部分が見えてしまうとデザイン的にもダサくなってしまうし、キレイじゃありませんよね。
トリムマーク(トンボ)と言うのは仕上がりを綺麗にする役目を持っていて、変な所で切れないようにするための線でもあります。
オブジェクトと効果のトリムマークの違い
ここからが本題になってきますが、Adobeのillustratorにはオブジェクトの「トリムマークを作成」と効果の「トリムマーク」の2つが存在ます。
なぜ2つあるのか不思議ですよね。
効果のトリムマーク
効果からトリムマークを選ぶとトンボ自体を選択することができません。
そのかわり下記のようにトンボを作り直さなくても自動でトンボの位置を調節してくれます。
しかも表示からアウトラインで表示(⌘Y)で表示させるとトリムマーク(トンボ)が消えて表示されてしまいます。
他にもトンボのカラーがレジストレーション(CMYKが100%表示)になっているのかも不明です。
オブジェクトの効果のトリムマークの作成
オブジェクトからトリムマークを作成を選ぶと、カラーがレジストレーションの状態でトリムマーク(トンボ)が作成されます。
このトンボは色や形も変更することが可能で、2色印刷や特色印刷のときに使うと便利なトリムマーク(トンボ)です。
しかし効果のトリムマーク(トンボ)と違って紙面のサイズが変更になると作り直さなないといけません。
トリムマーク(トンボ)の正しい作り方
私は以前、取引先の印刷会社から効果のトリムマークは使わないでくれと指示を受けたことがあります。
しかし、いろいろ調べていく中で効果のトリムマークを推奨している印刷会社もあり、結局取引先の印刷会社に確認する必要があります。
どちらかというとオブジェクトのトリムマークを作成を推奨している印刷会社多く、ネットで印刷しているプリントパックもオブジェクトのトリムマークを推奨しています。
※バージョンが低いillustratorでは「フィルタ」→「トリムマークを作成」になっています。
そして特色印刷や2~3色印刷ではトンボの色も変更しなければいけません。
このことから、印刷会社に確認することが出来なければオブジェクトのトリムマークを作成すれば、ほぼ問題なく印刷できると思います。
トリムマーク(トンボ)を作るときの注意点
ここで初心者が間違えやすいトリムマーク(トンボ)の付け方を解説していきたいと思います。
たまに何年もデザインやってきている中堅の方も間違えてトリムマーク(トンボ)を付けています。
まずは下記の図をご覧ください。
何か気づきませんか。
実際に印刷会社に切って欲しいのはガイドラインの部分なんですが、トリムマーク(トンボ)が線の太さに影響されて外側で作成されてしまっています。
これ、線の太さが太ければより大きく影響さていきます。
しかし線の太さが1ptだと気づきにくいので初心者が特に間違えやすいポイントでもあります。
だからトリムマークを作るときは「塗り」と「線」に色を入れてはいけません。
そんな細かい所気にしすぎだと思う方もいると思いますが、デザインはこういう細かいところに気を付けていかないと、他の細かなディテールにも影響していきます。
ようは細かいところまでデザインを意識しましょうという事です。
個人的にはこういう細かいところにまで神経が行き届いている人がいいデザイナーだと思っています。
なぜillustratorにトリムマーク(トンボ)が2つあるのか
この疑問に答えられるデザイナーは多くはいないと思います。
気にした事もなかったけど改めて聞かれるとなぜ2つもトリムマークを作る方法があるのか、
ここからは個人的な見解になりますが、それはゴールがひとつでもその道筋は多様化したいというAdobeの考え方だと思います。
例えばillustrator上で四角い描きたい場合、ツールボックスから四角を選びドラッグして描くこともできるし、画面をクリックしてから数字を入力して描く事もできます。
あとはツールボックスからペンツールを選び、パスを取りながら四角を描く方法まで様々です。
これは他の機能でも全て言えることで、ゴールは一つだとしてもその方法は使い手によっていくつも存在します。
「トリムマーク」においても言えることで、トリムマークを作るというゴールは一緒でも、方法はいくつも用意されているというのが私の答えです。
変な話、ペンツールを使ってトンボを作る事も可能ですよね。
まとめ
今回はトリムマーク(トンボ)について書いてみましたが、いかがだったでしょうか。
昔から何気に使っているトリムマーク(トンボ)ですが、そこにはいろんな意味が存在します。
本来の目的は印刷会社がちゃんと断裁できるようにするのが目的ですが、これをデザインに取り入れても面白いと思います。
トンボだけのデザインなんだのもいいかもしれませんね。
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