どんな職種でも職業病はつきもの。
一般的な職業病というと仕事が原因で起こる病気や障害のことを差しますが、ここではグラフィックデザイナーという仕事が引き起こす様々な軽度な症状を紹介したいと思います。
軽度な症状と言っても笑えるものや羨ましくなるようなものまでいろいろ。
完全に私の感じたことなので、偏った記事かもしれませんが、グラフィックデザイナーってこういう仕事なんだよって事を知ってもらえれば嬉しいです。
スキル的職業病
グラフィックデザイナーは仕事上でAdobe製品をよく使います。
主にIllustratorやPhotoshop、WEBデザインをするならXDなどいろいろ。
実はそれによって引き起こされる症状もあるんです。
①なんでもコマンドZしたくなる
コマンドZ(⌘Z)とはショートカットのことです。
Illustratorにもphotoshopにも標準装備のショートカット。
「一つ前に戻る」という機能です。
デザインしていると一つ前どころか、20も30も前に戻りたくなる事が多いんです。
戻るということはやり直すということ。
間違えた操作をなかったことにできる機能です。
これが実生活でかなり頭に浮かぶんです。
たとえば手元からスマホが落ちたとします。
頭の中では⌘Zが浮かびます。
スマホを落としたことをなかったことにしたいという願望が⌘Zに置き換えて頭に浮かびます。
それと同時に「⌘Zができない」と嘆きます。
実生活ではこれの繰り返しが起こって大変です。
「物を落とした」→「⌘Z」→「やり直せない!!」の繰り返しで疲れます。
②フォントや文字詰めが気になってしまう
この症状はとくに他の人のデザインを見たときに気になってしまいます。
使っているフォントの種類、文字の大きさや文字間や行間。
バランスがバラバラでデザイン的によろしくないとき、気になり過ぎてムズムズする事も多いんです。
そのムズムズ感はどこから来るのかというと、修正したいけど出来ないという葛藤(かっとう)からです。
相手のことを思うと言ってあげたほうがいいのですが、例えば目上の方やお客さんだったりすると、もうムズムズが止まりません。
悩ましい症状です。
③揃えたくなる
②のフォントや文字を揃えたい症状が実生活まで影響します。
たとえば夕飯の買い出しでスーパーに行ったとき、棚に陳列されている商品がきれいに揃っていないと直したくなります。
特に多いのがレジ横に置いてあるガムの箱。
手前からちゃんと揃っていないとついつい奥のガムを手前に持ってきて揃えてしまいます。
どうでも良いことですが気になったら勝手に手が出ているんです。
④見る夢は全てフルカラー
見る夢は全てオールフルカラー。
理由を調べたら、色を扱う職業だからだそうです。
たまにビビットなパッキパキのカラーの夢も見ます。
思い出してもモノクロの夢は見た覚えがありません。
怖い夢さえもダークカラーなんです。
中にはカラーの夢を見たことがないという人もいますから、そういう意味ではちょっとだけ得なんでしょうか。
逆にモノクロの夢とかちょっと怖いですね。
⑤混色のパーセントがだいたい分かる
グラフィックデザインをする際、Illustratorでの配色はCMYKを使います。
読みはそのままシーエムワイケー。
Cはシアン(青)
Mはマゼンダ(赤)
Yはイエロー(黄)
Kはブラック(黒)
で色指定をします。
例えばC100%、Y100%だとグリーンができます。
M50%、Y100%だとオレンジができます。
というように実生活においてもだいたいの配色のパーセンテージが分かります。
これが便利なのがファッションです。
色と色の合う合わない組み合わせが分かります。
普段のデザインでもそういうことばかり考えているので、自然にファッションでも考えてしまうんです。
同じ青でもこっちの青のほうが色合い的に合うよとか、ワンポイントは差し色を使うとまとまりやすいよとか。
意外と便利です。
デザイナーでおしゃれな人が多いのはそういうことかもしれませんね。
感覚的職業病
次は感覚的なグラフィックデザイナーの職業病を紹介したいと思います。
⑥紙の厚さが指の感覚でわかる
グラフィックデザイナーも紙をよく扱います。
パンフレットやチラシなど印刷するときに紙の種類や厚さを指定することも仕事なんです。
紙の厚さの単位はkg(キログラム)。
厚さなのにkgって変な感覚だと思います。
というのも紙の厚さの定義は1000枚重ねたときの重さが、1枚の重さの基準になります。
例えば1000枚重ねた紙の重さが135kgだったとします。
その紙の1枚の厚さも「135kg」という言い方をするんです。
当然紙の厚さが薄くなれば1000枚重ねたときの重さは軽くなります。
ヤマダ電機の大きなチラシの紙の厚さはだいたい75kgだと思います。
紙の薄さから言うと薄い方です。
パンフレットなどはしっかりとした紙を使うので135kgの紙をよく使います。
というようにこういう感覚が紙を触る指先で分かります。
だからどうしたと言われればそれまでなんですが、よく他社のデザインを参考にするときに、紙質や厚さを瞬時に把握できることは便利ですね。
⑦残業しているという感覚がまるでない
世代的に35歳以上のデザイナーは、昔は残業して当たり前の時代を生きていました。
だから遅くなっても残業しているといいう感覚が、若い人よりも薄いんです。
だって仕事してて気がつくと19時くらいになってるんです。
そこから打ち合わせとか明日の用意とかしてると普通に21時は軽く過ぎていましたから。
友達と残業の話になるとその感覚の差を大きく感じることがあります。
さすがに22時以降になるとちょっとしんどいですが、基本的に好きなことを仕事にしているから、一般職よりは精神的負担が少ないと感じています。
⑧残業していないと不安
⑦の「残業しているという感覚がまるでない」を限界突破すると残業していないと不安になります。
たまに早く変える事に不安を覚えてしまうんです。
忘れていることはないか、残業して少しでも仕事を進めておかなくてもいいのかとか。
なんかいろいろ考えて帰ることに不安を覚えてしまうんです。
これがまさに職業病と言われる部分だと思います。
これが進行すると会社にいないと不安になってしまいます。
休日、家にいてもなんだか不安。
一番安心できる場所が会社になってしまうと、知らないうちにストレスがたまって大変なことになってしまいます。
グラフィックデザイナーは他の業種に比べても忙しい仕事です。
休み返上で仕事をすることもあります。
自分と向き合ってたまには上司からの仕事のお願いを断っても大丈夫だと思います。
身体的職業病
仕事が身体へ与える影響は良いことから悪いことまで様々。
でもそれはどの業種も一緒だと思います。
ここからはグラフィックデザイナーという仕事が身体に与える影響を私の体験をもとに紹介したいと思います。
⑨同年代より若く見られる
基本的に室内にいることが多いせいで紫外線を浴びません。
皮膚の劣化が遅くなり、それが若く見られるということだと思っています。
同年代の大工の友達と比較しても、全然若く見られます。
女性は特に紫外線を避けたいと思うので、そういう意味ではピチピチのお肌を保つことができると思います。
⑩体力の衰えを感じやすい
クライアントとの打ち合わせなど、外へ出る以外はほぼデスクワークがほとんど。
良くて会社の中を歩くくらいなので、運動という運動はしません。
当然若い時よりも体力も筋力も衰えて、人によってはストレスが食に走り、太ってしまう方もいます。
体力の衰えを感じるのが友達との運動。
フットサルやバスケットボールなど、学生の頃に部活の仲間を集って久々に運動をするとき、かなり体力の衰えを感じます。
頭に身体が着いて行かない状態です。
「あれ?おかしい!」
「こんなんだったっけ?」
いろいろ悲しくなってくるんです。
⑪腰痛
立ってるよりも座ってる時間のほうが長いから、グラフィックデザイナーの方はだいたい腰痛に悩まされています。
私もそうです。
ぎっくり腰だけで何回も繰り返し、ブロック注射も何回も打ちました。
医者が言うにはただの運動不足らしいですね。
1日の時間をほぼ椅子にすわっているので、仕方がないと言えばそれまでですが、定期的な運動が必要な仕事だと思います。
⑫眼精疲労
モニターを何時間も見ていれば当然目も疲れます。
目が奥がツーンと痛くなったり、ピントを合わせづらかったり症状は様々。
私も忙しいときは目が少し痛くなったり、年齢のせいかピントが合わなくなることもあります。
会社だけじゃなく家でもPCを使うので、約20時間くらいはモニターを見ていることになります。
そして目から腰痛になることもあります。
まさに現代病です。
⑬視力低下
私は中学生ころから視力の低下が始まりました。
そしてグラフィックデザイナーという仕事について更に視力が低下。
メガネをかけていないと半径50cm以上は見えません。
そんな視力も今では両目共に0.05。
完全にメガネくんです。
でも中には視力の良いデザイナーもいるんですよね。
不思議なものです。
⑭肥満
運動不足とストレスから暴飲暴食が増える人もいます。
若いときは忙しさと責任感からくるストレスで逆に痩せる人も多いのですが、私のような中年は気をつけていないと太ていく一方です。
しかも中年のときに付いた脂肪ってなかなか落とせないんですよね。
若いときはちょっと運動すれば大丈夫だったんですが…
年は取りたくありませんね。
⑮寝不足
残業になると帰宅後の自分の時間が減ります。
自分の時間を確保しようと遅くまで起きているから寝不足になります。
早く寝ればいいじゃんと思うかもしれませんが、それだと仕事しただけの1日になってしまうのが嫌で寝るのが遅くなってしまうんです。
私の今の睡眠時間は平均だと4.5時間くらいです。
さすがに4時間以下だと次の日は朝から夜まで1日辛くなってしまいます。
本当は6時間くらい寝たいんですけどね。
まとめ
ということで今回は「グラフィックデザイナーの職業病15選」という内容でお届けしました。
中にはグラフィックデザイナーじゃなくても起きそうな職業病もあります。
ではなんでこの仕事を続けられるのかというと、達成感が他の職業よりかなり高いから。
もともと好きなことを仕事にしているからやりがいもあるし、基本的に楽しいです。
そういったことがこの仕事の魅力なんだと思います。
仕事をしている中でデザインを褒められればうれしいし、次につながるような仕事ができたときは、グラフィックデザイナー冥利に尽きると思います。
これからグラフィックデザイナーになりたいという若者に少しでも参考になれば幸いです。
コメント